SAIL meets ART

人生に本当の心地よさと美しさをもたらすセルフケアブランドでありたい。
そう考えるSAILが、みなさまの生活をより素敵なものにできたらという想いで、新しいプロジェクトをスタートします。
その名も「SAIL meets ART」。

大好きな場所があること、美味しいと思えること、美しいと感動すること、心から安心できること。
世界にはわたしたちを心地よくしてくれるもの、輝かせてくれること、がたくさん存在しています。
SAILを知ってくださる方々が、それらに触れるきっかけを生みだすため、多くのアーティスティックな人物や事柄と繋がり、
様々な情報を発信し、表現やコミュニケーションを作り出していくプロジェクトです。

SAIL Photography by____________

プロジェクト第一弾となる、「SAIL Photography by」はクリエイティブディレクターにフォトグラファーKINYA氏を迎え
年2回、彼がピックアップしたフォトグラファーの方々がSAILの製品を独自の感性でとらえ、表現を制作します。
公式サイトのジャーナルで、作品とそれぞれのインタビュー記事を公開し、合わせて公式インスタグラムでも作品を順次公開します。
それぞれのフォトグラファーが普段、どのような感覚で作品をつくりだしていているのか、
また今回SAILの製品や、香りをどのように捉えて作品に落とし込んだのか。
さらには、最近気になっていることや大切にしていることなどもインタビューすることで、トップクリエイターの思考にも迫ります。

岩本幸一郎
/ Koichiro Iwamoto

1992年福岡県生まれ。2015年から写真家・平間至が率いる「平間写真館TOKYO」にインターンとして勤務。
その後、文化出版局写真部を経て、2018年に独立。
デジタルはもちろん、フィルムでの撮影を得意とし、ポートレイトやファッションを中心にオリジナルな表現を追求している。
Instagram:@iwamoto_koichiro

「Let Go」は相反する感情を包み込む

僕がこのプロジェクトに参加させていただいたのは、純粋に面白そうだと思ったのが一番にあるのですが、撮影の前には実際に商品を使って自分の体に馴染ませて、想像を膨らませていきました。そのなかで、イ・チャンドン監督の映画『オアシス』(2002年)をふと思い出して、久々に観直したんです。他人からは理解され難い男女の関係性を、互いを否定することなく包み込むように描かれるストーリーなのですが、「Let Go」が“包み込む”ような香りだったので、その映画を思い出したのかもしれないなと思います。

僕たちが生きる日々はポジティブなことばかりではないですよね。何かに包まれたい瞬間や、誰かに少し頼りたい時だってあります。「Let Go」という言葉は「手放す」という意味がありますが、手放すという行為には寂しさや優しさといった一見相反する感情が同居していると思います。そこには強さもある。そういったイメージから、力強い直線のイメージではなく、繊細で柔らかな曲線を写真で描きたいと考えたんです。

意図や思い、そして心の傷

作品があって、見てくれる人がいて、本当は、それで終わりでいいと思う。自由に感じてもらえたら、と。でも僕自身は、どうしてこうなったのかなとか、その根源はどこにあるのかなと、掘り下げて考えることが昔から好きなんですよね。両親が美術に携わっている環境で育ったことも関係しているのかもしれません。小さい時に親と一緒に抽象画を見たことがあって、何が描かれているのかまったくわからなかったんですけど「きっとこの絵を描いた人は心に何か傷を持っているのかもしれない。それで、こういう色彩や形になったんじゃないかな」と、見方を教えてくれたんです。それは、合っているかどうかが問題なのではなく、何が表現されているのか想像しなさいという意味だったと思う。そこから絵画がすごく好きなりました。

ビジュアル的に良ければ、それだけで写真が完成することももちろんあると思います。でも、直接的ではなくても、作品の中に制作者の意図や思い、さらに、心の傷みたいなものがどこかに感じられると、もっとその作品が好きになる、愛せるものになると思う。その感覚をすごく大切にしています。

今、3部作の展覧会を段階的にやっているところで、1作目は「isolation」、2作目は「Self harm」というタイトルにしました。isolationは「孤立」という意味でネガティブにも聞こえる言葉ですが、写っている人物は一人ではなく二人。「記憶の回想」というのがテーマの根源にあって、例えば、僕が生まれる前に両親が出会った風景を、「時間」というフィルターを通して可視化するようなイメージです。それは決して鮮明ではない景色なので、フィルムで撮影したものを複写して、プリントして、さらに複写するという行為を繰り返してできた作品です。現在の記憶と、何年も前に見た光景と感情を、擦り合わせると同時に遠ざけるような感覚でもありますね。また、2作目でも複写を繰り返す作業を継続しているのですが、Self harm=自傷行為という言葉のように、景色を撮ったフィルムに傷をつけて制作し、1作目とはまた異なる表現に挑戦しました。

写真との出会いと、
見るたびに発見がある写真

僕は中学卒業後から一人暮らしをしていて、写真の専門学校も美大も行っていないので、写真は独学です。20歳の時に、ライカのM6を父から譲り受けたことがカメラを触った初めての体験に近くて。初めは“オブジェ”として好きな程度だったのですが、ある日、写真展で平間至さんの写真に出会ったんです。もうとにかく感動してすぐに連絡を入れて、インターンとして働かせてもらうことになりました。僕はフィルム交換の仕方から教えてもらわないとならないほどカメラの使い方を知らなかったのですが、撮影後の車の中で「あの夕日、どんなふうに見える?」と平間さんと話したり、自分がどう感じるのかを整理していくような、刺激を受けた時間はすごく大切な思い出です。

写真に出会ってから、ずっと写真が好き。ただ、自分の体があるのは当たり前のことではなく、明日どうなるかはわかりません。そういうことをどこかで意識しながらも、皆さんに観てもらって少しでも興味を持ってもらえるような作品をつくっていきたいですね。一つの作品なのに、見るたびに新しく感じることがあるような、“成長する作品”をつくりたいです。

最近気になる7つのこと

1. 面白かった映画
『オアシス』(イ・チャンドン監督)
『あの夏、いちばん静かな海。』(北野武監督)
『神のゆらぎ』(ダニエル・グルー監督)
2. よく聞いている音楽
江崎文武, naomi paris tokyo
3. 好きな本
E.H.ゴンブリッチ『芸術と幻影』
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
4. 注目しているアーティスト
ーー
5. お気に入りの場所
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6. 最近買ったもの
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7. 気になっている撮影機材
Hasselblad 907X CFV Ⅱ 50C
インタビュー:中村志保

1982年生まれ。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。ロンドン大学ゴールドスミス校でファインアート専攻後、メディア学修士修了。 「美術手帖」「ARTnews JAPAN」編集部などを経て、フリーのエディター・ライター。

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